飲込みセンサ
● 吉田 慎哉、宮口 裕、中村 力
● 電池開発グループ: Sven Stauss、本間格
個人が日常生活の中で、気軽に使える安全・安価な錠剤型の飲込みセンサを提供し、健康生活の維持に貢献します。
健康状態の指標として、血圧をはじめとするバイタルサインを継時的にモニタすることの重要性は広く認知されてきました。しかしながら、簡単そうに見える「体温」の測定には実は大きな課題があります。まず、健康状態(体内の生命維持活動)を表す基礎体温は、安静状態で測ることが前提となります。また、市販の体温計では様々な環境要因に影響される体表からの測定しかできません。このため、基礎体温の重要性は知られてはいるものの、日常生活を送りながら継続的にモニタする手段がありませんでした。
私たちはこの課題に対して、錠剤型で安全・安価な飲込みセンサを開発し、睡眠中の安静時に体内で基礎体温(深部体温)を計測することを狙っています。この技術の実用化により、誤差が大きく課題となっている女性の排卵周期把握や各種感染症の兆候検出の他、不眠症や認知症対策への貢献が期待されています。
搭載する要素技術については、ひとつひとつ安全・安価を実現する視点から検討を行いながら開発を進めています。将来的には、基礎体温以外の体内データの測定も視野に入れ、温度以外のセンサの搭載も可能なシステム設計を行っています。飲込みセンサを実現するための重要技術は以下の3つとなります。
(1) エネルギー獲得技術:安全性・環境影響の面から既存の電池の搭載を回避し、胃酸による発電で動作エネルギーを供給します。エネルギー必要量が異なるアプリケーションに対応するため、複数タイプの胃酸電池を開発しています。
(2) 低消費電力技術:安価なセンサを目指して、既存技術から最適化設計を行い、測定・データ処理・通信の各機能を実現しています。
(3) 小型実装技術:広い年齢層に飲みやすいとされる直径:8mm程度、厚さ: 5mm程度の錠剤型センサの実現を目指しています。
Copyright ©2015 Tohoku University Innovation Center for Creation of a Resilient Society.